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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻5号

1969年05月発行

文献概要

特集 心気症をめぐつて 第5回日本精神病理・精神療法学会大会シンポジウムより 主題演者

心気神経症の臨床的特徴と発病機制

著者: 西園昌久1 村田豊久1 田辺健一1

所属機関: 1九州大学医学部神経精神科教室

ページ範囲:P.341 - P.346

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I.はじめに
 焦点のはつきりしない心身の多彩な故障を主観的に訴え,しかも,その症状にしつこくこだわる一群の患者たちがいる。Hypochondriasis心気症といわれ,古くから記載されていた状態である。非常に慢性に経過するものもあれば,一過性のものもある。心気症状は神経症にも精神病にもみられる。ヒステリーにも,強迫神経症にもうつ病にも,神経衰弱にも,精神分裂病にも,さらには器質的精精病にもみられる。
 したがつて,前景に心気症状を呈してあらわれた場合,それが,一つのはつきりしたeintity単位かどうか疾病学上の論議を生むことは当然のことであろう。古くからこの点についての報告は数多い。Bleuler, E. 2)は〈無意味な徴候やあるいは何もないのに,自分で病気ときめて,健康に持続的に関心の向く状態〉と定義して,慢性の心気症状に悩んだ患者はすべて分裂病であつたとしている。分裂病とはつきり断定しなくとも,精神病的なものと考えたのはWestphal16),Sommer15),Wolf sohn17),そして,ちかくはSchilder14)らがいる。神経症圏内と考えた人たちには,Freud, S. 7),Fenichelらがいる。また,特定の疾患との関連についても,いろいろの意見がある。ヒステリーと同じと考える人もおれば,うつ病の一症状とする人もいる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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