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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻5号

1969年05月発行

特集 心気症をめぐつて

第5回日本精神病理・精神療法学会大会シンポジウムより 主題演者

分裂病者の体感幻覚と心気状態について

著者: 竹内直治1 小田庸雄1

所属機関: 1信州大学医学部神経精神医学教室

ページ範囲:P.361 - P.365

文献概要

I.はじめに
 体感異常と心気症状とは密接な関連にあり,程度の差はあれ,一般に体感異常を訴える病者は多くは心気的であり,また心気的な病者には何らかの体感異常が認められる。Huberはこのような両者の関連を強調するかのように,元来フランス語圏内のcénésthesieの概念をLeibhypochondrieと同義に解し,leibhypochondrische Schizophrenieなる名称を分裂病の一型として与えた1)。このような背景から,本日の《心気症》に関するシンポジウムも分裂病の心気状態やセネストパチーをも含めて論じようとするのであろう。これに対して批判がないではない。HuberならびにWeitbrecht2)らは,この種の分裂病者にはLeibgefühlの障害が原発性にあり,心気的な態度が根本ではないとし,それゆえ,この種の分裂病をhypochondrischと表現するのはHypochondrie本来の意味から本当は適切でないとも述べている。しかしJanzarik3)は神経症などによくみられるregressive Hypochondrieに対して,たとえば分裂病などの体感幻覚に伴う心気状態をkonstruktive Hypochondrieとして対置させながら,神経症と内因性精神病における心気症状を一貫して考察しようとしている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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