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ブラジル移住者の精神医学的研究(Ⅰ)—アンケートによる
著者: 柴田出1 柴田道二1 峰松修1 元田克己1 野口宗雄1 安中康子1 中野隆子1
所属機関: 1聖ルチア病院ブラジル移住者問題研究班
ページ範囲:P.409 - P.413
文献購入ページに移動1908年(明治41年),笠戸丸が第1回の移民を乗せてブラジルへ向かつて以来,約60年を経た現在,在伯日系人は約60万人を越えるといわれる1)。これらの人々は,農業に従事している人が大半を占めているが,なかには議員,医師,弁護士,技術者などの知識層にも進出し,各方面で活躍し,ブラジル社会の信用を勝ち取つてきている。それだけに,数少ないとはいえ,在伯日系人の非行,犯罪は,関係者に大きなショックを与え,一方,日系人に対する偏見の起こることを心配するむきもある。またサンパウロ州立ジュケリー精神病院(無料施設)Hospital de Juqueriの入院患者18000人のうちに,約350人の日系人が入院しており,大半が精神分裂病で占められている。著者のひとり柴田(出)は,過去3回ブラジルに行く機会があり,前述のことを見聞し,また自らも旅行者としての海外生活を体験してきたが,その間に起こつた自らの精神的変化などから,日本人の海外における生活適応の問題に興味をもつた。このことは,単にブラジルだけの問題ではなく,ひいては国際間の交流が増加するようになつたこんにち,日本人が異なつた国民性,宗教,文化,言語,風土のなかで,国際人として適応しているか否かの手がかりを得るだけでなく,海外生活の精神衛生についてある程度の指針を得ると考える。
そこで柴田(出)は,現地で面接その他の調査field studyを行ない,一方われわれは,Cornell Medical Index(深町式)健康調査表,YG性格テスト,およびアンケート方式によつて調査し,考察をこころみた。
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