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研究と報告
出眠時の実体的意識性の妄想性発展
著者: 西山詮1
所属機関: 1東京大学付属病院精神医学教室
ページ範囲:P.435 - P.440
文献購入ページに移動 脳炎後遺症性のナルコレプシーにおいて,その出眠時の実体的意識性から被害妄想が発展する場合を例示して若干の考察を行なつた。
ナルコレプシーの幻覚が観念的空間における夢幻的妄想に発展する場合についてはすでに知られているが,われわれの症例の場合,幻覚妄想性精神病は出眠時の実体的意識性にひきつづいて発生し,これと内容的に関連をもち,夢幻状態を基盤として広く生活に浸透した点で特徴的である。さらに,こうして現実世界に定着した被害妄想が,現在も痕跡的に証明される夢幻状態を基礎としてその命脈をたもつているのである。
実体的意識性がこのように幻覚妄想性の精神病に発展することはけつしてまれでない。これについては,実体的意識性そのものにすでに幻覚および妄想の本質的契機が含まれていることを指摘した。
ナルコレプシーの幻覚が観念的空間における夢幻的妄想に発展する場合についてはすでに知られているが,われわれの症例の場合,幻覚妄想性精神病は出眠時の実体的意識性にひきつづいて発生し,これと内容的に関連をもち,夢幻状態を基盤として広く生活に浸透した点で特徴的である。さらに,こうして現実世界に定着した被害妄想が,現在も痕跡的に証明される夢幻状態を基礎としてその命脈をたもつているのである。
実体的意識性がこのように幻覚妄想性の精神病に発展することはけつしてまれでない。これについては,実体的意識性そのものにすでに幻覚および妄想の本質的契機が含まれていることを指摘した。
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