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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻7号

1969年07月発行

研究と報告

Butyrophenon系薬物による向精神薬大量療法—Spiroperidolによる経験の検討

著者: 吉川武彦1 中村征一郎1 根岸敬矩1 関谷信平1 米沢洋介1 亀井清安2 浅川守胤2

所属機関: 1千葉大学医学部精神科 2榛名病院

ページ範囲:P.557 - P.563

文献概要

I.はじめに
 向精神薬の出現は,精神科の治療体系を大きく変えたが,これらの向精神薬による治療自体の体系化は,いまだに十分行なわれているとはいえない。向精神薬十数年の歴史のなかに登場したかずかずの薬剤は,その臨床的な使用方法があらゆる分野にわたつて十分検討される以前に消えていつた。
 われわれは,精神科治療体系のなかの薬物の位置,および,それらのもつ意味を問い,また,向精神薬の治療体系化6)を行なうなかで,大量療法の意義を認め,これらの完成化をこころみてきた5)。すでに報告したようにphenothiazlne系薬物では,chlorpromazine,trifluopromazine,perazine,trifluoperazine,thioridazineについてこれをこころみ,大量療法は
 1)(精神科薬物の大量投与による治療が)維持量,ないしは普通量投与による治療との連続性はあるにせよ,その意義が異なるものと考えられること,
 2)大量療法により,個体は生理的・心理的退行をみせ,個体が未統合の状態におちいること,
 3)精神療法的接近を初め,あらゆる治療的操作を加えつつ,この未統合状態を統合へと発展させる,ことにあるとした。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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