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研究と報告
一群の精神身体症状をともなうDrowsy Patternの臨床的研究
著者: 原田正純1 笠置恭宏1 三浦嘉道1 石川博也1
所属機関: 1熊本大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.595 - P.606
文献購入ページに移動2)病的なdrowsy patternとしたものは,恒常的にdrowsy patternが出現すること,α-blockingの異常(paradoxal α-blockingなど)がみられること,脳波と睡眠の不一致がみられることの3つの特徴をもつ。
3)病的なdrowsy patternを示す47例の臨床像は精神症状,睡眠-覚醒機能障害,発作症状,性格障害,自律神経・内分泌障害から構成され,一定の症状群(かりに,drowsy pattern症状群)をなす。
4)精神症状は,情意減弱状態,不安・焦躁状態,うつ状態,軽躁状態,幻覚・妄想などが注目される。身心故障の訴えは強く,心因反応もみられた。
5)睡眠・覚醒機能障害は睡眠発作,昼間眠気,熟睡困難・不眠,入眠時幻覚,睡眠麻痺などがみられた。
6)発作症状はぼんやり,めまいの発作,情動性脱力発作,失神発作,けいれん発作,もうろう発作,自律神経発作などがみられた。
7)性格障害の特徴は未熟・幼稚さがめだち一部てんかん性性格も加わつたものである。
8)自律神経・内分泌障害は発汗過多,肥満が多く,口渇,多尿,性器発育不全,月経不順,インポテンツなどがみられた。
9)これらの病像をつぎの病型に分類した;i)ナルコレプシー型(14例),ⅱてんかん型(13例);そのなかにさらに,けいれん型,小発作型,精神運動発作型,自律神経発作型,周期性嗜眠型がある。ⅲ)精神病型(15例);そのなかにさらに,分裂病型,うつ病型,心因反応型,神経衰弱型に分けられる。iv)内分泌障害型(2例)。v)性格異常型(3例)。
10)drowsy patternの背後にきわめて重要な臨床的意義が潜んでいることを強調し,ナルコレプシー,てんかん,内因性精神病,ヒステリー,間脳性疾患などとの関係を考察した。
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