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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻8号

1969年08月発行

研究と報告

薬物依存発生に関する研究(第1篇)—依存心性と類型

著者: 高橋伸忠1

所属機関: 1東京医科大学神経精神科

ページ範囲:P.621 - P.629

文献概要

Ⅰ.緒言および研究の目的
 1964年ごろからW. H. O.(世界保健機構)によつて,慢性中毒(chronic intoxication),習慣(Gewohnung,habituation),嗜癖(addiction),渇望(Sucht)などの用語を薬物依存(drug dependence)という言葉に改めようとする提案がなされて以来1),日本でも依存という言葉がかなり多く使用されるようになつた。この改正の目的や用語相互の関係などについては,W. H. O. の専門委員会に出席した細谷の論文2)に詳しい。このなかで細谷は薬物依存とは「薬物を周期的あるいは継続的に反復使用した後,その使用をやめると精神的身体的異常を生ずるような状態である」と定義づけたあと,精神依存,身体依存についても的確な説明をしている。C. F. Essig3)は身体依存(physical dependence)を「薬の乱用の結果もたらされた,変化した生物学的状態であつて,この状態のもとでは,特殊な症状や徴候(禁断症状鮮)の発現(development)を防ぐために,その薬の服用をつづけざるをえない状態である」と説明している。また柳田-Seeversら4)は依存薬物を 1)pschoactive drug,2)コカイン,大麻類,3)アンフェタミン,ヒロポン,スパなど,4)バルビタール類,5)モルヒネ,ヘロイン,6)アルコール類などに分類し,そのおのおのがそれぞれの依存の型の特性のもとに依存を形成しやすい個体と結びつき,精神依存を経て薬物によつては耐性上昇,身体依存(禁断症状)を伴いながら,ついに精神症状の発現から反社会的行動へいたるまでの過程を巧みに図表化して説明している(第1表)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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