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文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻8号

1969年08月発行

文献概要

研究と報告

Gilles de la Tourette's Syndromeの1症例

著者: 白川典参1

所属機関: 1久留米大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.631 - P.636

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I.はじめに
 全身性チック様運動については,1825年Itardが最初に報告しているが,1885年Gilles de la Tourette8)が“反響言語,糞語症を伴つた非合目的運動を呈する神経疾患”と題し,9名の患者をまとめて報告している。以来その症候群に対して彼の名をとりGilles de la Tourette氏病あるいは症候群としてよばれるようになり,単なるチックとは違つた症候群であろうと考えられている。
 Ascher1)によると発病はほとんど10歳以前の子どもである。顔面がもつとも多いが手足など四肢末端部のチック様不随意運動に始まり,一時的な寛解はあるがチック様不随意運動は徐々にひどくなり,ついには全身の奇妙なチック様不随意運動へと拡がつてゆく。この疾患でもつとも特徴的なものは糞語症(coprolalia)であり,発病してから数年後に出現する。最初は言葉にならない叫び声(vocal tic)として現われるが,やがてその叫び声は言葉となり,coprolaliaとして現われてくる。社会適応の場でなにか困難な場面に直面したときにその反応としてcoprolaliaを生じることが多く,“shut up”,“don't say it”,“keep quiet”など多くは攻撃的色彩が強い。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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