icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学11巻9号

1969年09月発行

文献概要

研究と報告

心気傾向をもつ神経症者らに対するMagnesium α-amino-glutarate hydrobromide(PS-O42)の臨床検討

著者: 吉川武彦1

所属機関: 1千葉大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.729 - P.734

文献購入ページに移動
I.はじめに
 精神科治療における総合的接近の立場からはとくに神経症,心因反応,うつ病軽うつ状態,頭部外傷後の神経衰弱様状態などに対する薬物療法の位置づけはきわめて重要である。われわれは,日常的な臨床,とくに大学病院の外来診療を通じて総合的接近としての簡易精神療法(brief psychotherapy,imergency psychotherapy)のありかたを模索してきた。こうした治療のsettingのなかで,薬物はつねに精神療法の進展と有機的・力動的に結びついた使用がなされなければならないと考えている。
 既報のように,magnesium α-amino-glutarate hydrobromide(PS-O42)は潜在する不安や浮動する不安に対して有効であり,とくにこれらの不安の代理症状ともいえる心気症状への効果が期待されている。これらの経験を基とし,精神療法的接近をつづけている各種症例のうち,その治療過程に出没する心気症状の改善を目的として本剤を使用し,その改善をみたので報告する。なお,本報告は,既報を本剤の使用に関する総論的なものとしたとき,その各論的位置にあるものである。また,前回行なえなかったplaceboの使用により,本剤の側面的評価を行なつた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?