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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻1号

1970年01月発行

文献概要

研究と報告

脳の器質的疾患に対するcarpipramine(Defekton)の効果について

著者: 太田幸雄1 古薮修一1 元村宏1

所属機関: 1大阪赤十字病院精神神経科

ページ範囲:P.47 - P.53

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 1.carpipramine(Defekton)を神経病的疾患を含む器質的疾患で発動性減退を示す症例に使用してみた。
 2.パーキンソン症状群にみる発動性減退に対して本剤は有効であったが,その作用機序は明らかにしえなかった。
 3.Wernicke失語の慢性状態に対して,本剤を用いたところ,言語訓練への意欲が高まり,言語訓練の成果が飛躍的に増大した。亜急性期にある超皮質性運動失語(Goldsteinの第2型)では発語へのimpulseを強めることにより,症状の劇的改善をみた。
 4.精神科的側面より器質性疾患での発動性減退について本剤の効果をみたところ,完全なる欠陥状態としての発動性減退に対しては本剤はほとんど有効ではないがDurchgangs-Syndrom(Wieck)に属すると考えられるものに対しては,本剤は劇的な効果を示しうる。
 5.副作用として,ときに興奮,抑制の欠如がみられることがある。
 6.要するに,現在までcarpipramine(Defekton)の臨床効果については,もっぱら精神分裂病のみについて報告されていたが,器質的脳疾患でも広い適応が期待されることがわかった。そして,本論文ではその作用機序について多元的な考察を加えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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