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研究と報告
二重盲検法によるoxypertineとcarpipramineの精神分裂病に対する薬効比較
著者: 谷向弘1 金子仁郎1
所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科学教室
ページ範囲:P.55 - P.64
文献購入ページに移動 遊離のインドール核を基本骨格とするoxypertineの精神分裂病に対する臨床効果を,carpipramineを対照薬とした二重盲検・比較実験法によって調べた。2週間のプラセボー投与によって前治療の影響を除去した後,実薬をfixed-flexible scheduleで8週間投与し,経過を観察,諸検査を施行した。「似たもの同志の組」として実験を完了したものが22組44症例,途中で一方または双方が脱落したものが7組で,結局8週間観察をつづけえたものはoxypertine投与例23例,carpipramine投与例25例であった。
得られた結果を逐次検定法,x2検定法あるいは直接確率計算法(Fischer)で解析したところ,全般的な分裂病像の改善,病型,状態像,罹病経過期間,今回の症状発現より治療開始までの期間別による有効率,各精神症状に対する効果(有効率,効果発現速度)のどれを比較してみても,両薬剤間に有意差を見出すことはできなかった。標的症状は両薬剤に共通しており,発動性低下・感情鈍麻に対して賦活的に作用する傾向が認められた。副作用の種類とその出現頻度も両薬剤間で有意差はみられなかったが,脱落例の解析からoxypertineでは重症パーキンソニスムがcarpipramineでは強度の胃障害(悪心・嘔吐)が,より発現しやすいとの印象をうけた。臨床検査では,一部に肝機能,尿所見に異常のみられた症例があったが例数が少ないので治療との相関を明らかにするにはいたらなかった。またoxypertineでは検査した約半数の症例に,治療量での脳波の徐波化傾向を認めた。
以上oxypertineの精神分裂病に対する効果は,carpipramineのそれと臨床上類似しており,いずれも中等量以下では,発動性低下・感情鈍麻を改善する作用に特長が認められた。
得られた結果を逐次検定法,x2検定法あるいは直接確率計算法(Fischer)で解析したところ,全般的な分裂病像の改善,病型,状態像,罹病経過期間,今回の症状発現より治療開始までの期間別による有効率,各精神症状に対する効果(有効率,効果発現速度)のどれを比較してみても,両薬剤間に有意差を見出すことはできなかった。標的症状は両薬剤に共通しており,発動性低下・感情鈍麻に対して賦活的に作用する傾向が認められた。副作用の種類とその出現頻度も両薬剤間で有意差はみられなかったが,脱落例の解析からoxypertineでは重症パーキンソニスムがcarpipramineでは強度の胃障害(悪心・嘔吐)が,より発現しやすいとの印象をうけた。臨床検査では,一部に肝機能,尿所見に異常のみられた症例があったが例数が少ないので治療との相関を明らかにするにはいたらなかった。またoxypertineでは検査した約半数の症例に,治療量での脳波の徐波化傾向を認めた。
以上oxypertineの精神分裂病に対する効果は,carpipramineのそれと臨床上類似しており,いずれも中等量以下では,発動性低下・感情鈍麻を改善する作用に特長が認められた。
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