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外国における精神科専門医制度とその実態—アメリカ篇
著者: 阪本良男12
所属機関: 1阪本病院 2現在ハーバード大学精神科
ページ範囲:P.67 - P.71
文献購入ページに移動 要約すると,米国における精神科専門医の教育は,伝統的な個人の患者すなわち個人の精神内界の教育の方針から,社会のなかの病者としての方針に変わりつつあることは明らかである。現在,教育では患者の社会的対人間関係により焦点が向けられ,その社会も静的な,動かしえざる外界の現実と見るよりは,理解しうるまた影響しあう複雑な人間関係の世界であると理解される。病者は社会のなかに存在するとの考えから,教育は病者に精神的な影響を及ぼす環境の諸要素の理解に向けられつつあるのである。すなわち,精神科専門医の教育の焦点は,①病者の精神力動の構造,②病者と家族,集団,社会,治療チームとの間の関係の分析に大きく分けられる。これだけの教育を3年間にはたすにはもちろん無理な点はあるが,被教育医に新たな精神科医としての目を開かせるためには,ぜひとも必要とされることであろう。また精神科専門医教育の問題は,精神科医自身の問題であることが常に強調されている。
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