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研究と報告
重大犯人に認められる発作波出現低閾値の意義—とくに発作波と情動犯罪の関連性
著者: 木戸又三1
所属機関: 1東京医科歯科大学総合法医学研究施設犯罪心理学部門
ページ範囲:P.865 - P.873
棘波成分を含む発作性異常脳波が,安静時あるいは明らかな低閾値において出現し,しかも臨床発作のない犯罪者の7事例(殺人6,放火1)について,性格と犯行の特徴を論じ,責任能力を考察した。性格特徴としては,その傾向もあるものを含め7例中6例で爆発性が認められたが,その原因としてはてんかん性要因ばかりでなく間脳周辺の非特異的障害が考慮された。犯行の特徴としては情動からの犯罪が目立ち,2例が激情犯罪,他の2例が情動蓄積にもとづく犯罪と考えられた。このような例における発作波出現低閾値は,責任能力判定の場合,考慮すべき一要因として取上げるのが適当であると考え,臨床所見を重視する立場から各事例の責任能力を考察した。
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