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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻10号

1970年10月発行

文献概要

研究と報告

一長期療法不完全終結例の処理

著者: 山口隆12

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科教室 2

ページ範囲:P.875 - P.880

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I.はじめに
 Ewalt & Farsnworth著「精神医学教科書」1)には精神療法に関して次のように記されている。「精神療法は生活への適応がより容易で効果的にできるように,患者の感情と行動を理解・改善するのを助ける目標をもった治療者・患者間の計画的な思考と感情との相互交流である。その効果に関する研究が少ないにもかかわらず,治療に参加した精神科医と患者め多くは精神療法が個人的な問題の解決と神経症や精神病の症状軽減に有効であると信じている」。
 短期精神療法についてはSemradら2)がMass. Mental Health Center(以下MMHCと略記)の外来患者100例の治療効果の報告の内で,特に追跡面接の可能であった反応性うつ病(抑うつ神経症)†の30例中治療終結時に「改善」と判定されたもの26例(約90%),1〜1年半後の追跡面接時に「治療を今後も必要としない」と判定されたものが18例(約60%)であったことから,短期精神療法がことに反応性うつ病に対して良い適応があるという観点をとっている。また,Seminars in Psychiatryの新刊3)には1968年の「短期精神医学的治療法に関する公開討論会」(於Boston)の主要論文が特集されており,その中でSifneos4)はMass. General Hospital(以下MGHと略称)の"短期精神療法外来"での過去15年間の経験から,適応症例の選択規準として患者が(1)平均以上の知能をもつこと,(2)生活史上最低1人以上の人と有意義な関係を記録していること,(3)診断面接者に対して何らかの情動反応を示す能力のあること,(4)一定の主訴のあること,(5)精神療法を受ける意向の十分あることを列挙している。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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