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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻10号

1970年10月発行

研究と報告

新しいBenzodiazepine系薬物S-804の神経症に対する臨床効果—二重盲検法によるChlordiazepoxide,Diazepamとの比較

著者: 西園昌久1 村田豊久1 長野光生2

所属機関: 1九州大学医学部精神医学教室 2大分県立病院神経科

ページ範囲:P.883 - P.887

文献概要

I.はじめに
 Benzodiazepine系薬物のマイナー・トランキライザーとしての役割は広く認められている。ほとんどの神経症患者の薬物療法がBenzodiazepine系薬物であるChlordiazepoxide,Diazepamによってなされている事実はこのことを物語る。神経症の本質からして,その治療は精神療法的状況のもとで行なわれるべきものであるが,不安の水準を下げ,自律神経の不安定を整えるためにマイナー・トランキライザーを使用することは,そのような治療理念と必ずしも矛盾するものではない。実際にマイナー・トランキライザーが,不安を中心とした神経症症状を具体的に緩和改善するという作用を持っているので,自然,神経症の治療にあたってはマイナー・トランキライザーがほとんどの場合に使用される。
 Benzodiazepine系薬物がMeprobamateなどと比較して依存性や副作用などの点ではるかに使いやすく,しかも,抗不安作用が強いということから,マイナー・トランキライザーとしてほとんどの場合Benzodiazepine系薬物がえらばれる現状なのであるが,同系の薬が2剤しかないということは不便なことである。自然,Benzodiazepine系に属すもので新しい薬の開発が続々と試みられている。もちろん,それらが臨床作用を持つとしても,これまでのBenzodiazepine系の薬物と同種の作用の枠内での働きを示すものであろうが,そこには,自ら,作用のニュアンスのちがいや強度のちがいがみられてよいはずである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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