icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻11号

1970年11月発行

特別論文 精神医学の基本問題—精神病と神経症の構造論の展望

第6章 クレペリンの精神病構造論

著者: 内村祐之12

所属機関: 1東京大学 2財団法人神経研究所

ページ範囲:P.926 - P.934

文献概要

前5章の梗概
 ここでまず,さきに5章にわたって述べてきたところを短く総括してみよう。この中で私が目標としたのは,精神医学の近代的研究の幕明けである1800年の後半以後から,1914年の第1次世界大戦開始前のころまでにかけて,クレペリンとフロイトとを2つの中心として,現代の精神医学の一応の理論と体系との基礎が形造られた経路を,その間に出た傑出した研究者の所説を簡単に紹介しながら回顧することであった。そしてその際,特に私が注意を引かれたのは,狭義の精神病の研究と,神経症についての研究が,当初はそれぞれ別個の研究者の手によって行なわれたことである。
 すなわち精神病の研究は,精神病院に収容されている重篤な病者を対象として,主として精神医学者がこれを行なった。そして彼らはグリージンガーやウェルニッケらの研究を基として,精神病を脳疾患として,あるいは身体疾患の表現として捕えようと努力したのである。これに対し,神経症の研究では,一般病院に多数混入している患者が主たる対象とされ,シャルコーのヒステリー研究,とりわけ催眠術応用の研究が端緒となって,主に神経病学者の手によって研究が進められたのであった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら