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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻11号

1970年11月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病の「再発」に関する一実態調査

著者: 大熊輝雄1 福間悦夫1 梅沢要一1 更井啓介1 小椋力1 竹尾生気1 内田又功1 下山尚子1 角南譲1 中尾武久1 本池光雄1 松下棟治1 藤井省三1 柏木徹1 川原隆造1 宮本慶一1 幡碩之1 岸本朗1 小倉淳2

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科学教室 2倉吉病院

ページ範囲:P.949 - P.958

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I.はじめに
 精神分裂病の治療は,1930〜1940年代における各種衝撃療法の発達,さらに1950〜1960年代にかけての薬物療法の発展により,近年いちじるしい進歩をとげてきている。ことに最近の薬物療法の発達は,精神分裂病(以下分裂病とよぶ)の完全寛解率の上昇をもたらすとはいえないにしても,従来は社会復帰が不可能であった種類の患者の社会復帰率をかなり上昇させている。とくに薬物療法による精神状態の改善により,作業療法,精神療法などの積極的施行が可能となったことも,薬物療法の効用のひとつとして高く評価されている。
 しかし一方では,分裂病者に症状の再燃あるいは「再発」がかなり高率にみられることも事実である。すなわち,薬物療法その他の治療によっていったん寛解状態に達した患者のかなりの部分が,比較的短期間のうちに再発を示すことが最近注目されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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