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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻3号

1970年03月発行

紹介

Paranoia概念の変遷(前篇)

著者: 伊東昇太1

所属機関: 1昭和大学医学部神経科教室

ページ範囲:P.255 - P.263

文献概要

Ⅰ.序論
 Paranoiaをめぐる諸問題は,すでに出つくした感がある。Griesingerの「精神の脆弱状態」(psychische Schwächezustände)による説明は,ドイツ精神医学の教義となっていた。Snellの臨床観察は,Hildesheimの病院の8名から成っていて,端的にして十分な記載は印象深いものである。さらにWestphalの緊張病をも含め,また強迫表象にもとづくParanoiaの頓座型の提唱は,本病圏の拡大といわねばなるまい。そしてKraepelinの定義や症例Wagner(Gaupp)の生活史は,なお汲みつくせない問をなげかけている。一方諸々の論文を比較し展望すると,研究者の間に相違があり,この概念の変遷は決して単純なものではなかったといわねばならない。たとえばParanoia,Verrücktheit,Wahnsinnの言葉の使用は一様でなかった。さらにParanoiaにおける感情と思考の障害で,どちらが原発的で,優位であるかをめぐっての問は,決してSpechtに始まったわけでなかったことがわかる。それ故にここでは主に1900年以前の研究について触れてみることとする。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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