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文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻5号

1970年05月発行

研究と報告

精神分裂病に対する新Minor Tranquilizer—CS-300の使用経験

著者: 前田利男1

所属機関: 1新潟精神病院

ページ範囲:P.431 - P.442

文献概要

Ⅰ.緒言
 従来minor tranquilizerとしてChlordiazepoxideやDiazepam,Nitrazepamなどが次々と登場して,臨床的にも優れた効果を発揮してきた。今回国産品として三共株式会社中央研究所で,さらにCS-300が合成されたが,本剤はChlordiazepoxideやDiazepamと同じくBenzodiazepine誘導体の一種であるが,ChlordiazepoxideやDiazepamと同じく,馴化作用,斗争反応抑制作用が著明であり,しかも,随伴症状が少なく,筋弛緩作用,自発性行動の抑制作用も低いといわれている。
 三共株式会社中央研究所の動物を用いた薬理作用の研究結果によれば,小動物の馴化作用では,CS-300はChlordiazepoxideとほぼ同等の効果を示し,またサルの行動に及ぼす影響では,sociability,contentmentの増加,excitement,hostilityの減少を示し,その効果はCS-300とChlordiazepoxideでは同程度であるという。また抗痙れん作用はChlordiazepoxideと同程度でDiazepamよりも低いことが報告されている。しかし自発性行動の抑制作用ではCS-300はChlordiazepoxide,Diazepamよりも著しく弱いという。これらの事実は大脳生理学的にみて,CS-300がChlordiazepoxideと同じく,海馬より扁桃核の後発射に抑制を示し,視床下部刺激による大脳辺縁系の賦活反応に抑制を示さず,坐骨神経,中脳網様体の刺激による脳波覚醒の閾値上昇をきたさないことからもある程度理解されうるかもしれない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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