icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学12巻7号

1970年07月発行

研究と報告

躁うつ病様病相に一致して脳波異常をくり返した非定型精神病の1症例

著者: 菅野圭樹1 宮坂松衛1 小島卓也1 田上洋子1 小見山実1

所属機関: 1東京医科歯科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.593 - P.609

文献概要

I.はじめに
 定型的内因性精神病(分裂病,躁うつ病)には一般に脳波の異常はみられないとされているが,いわゆる非定型内因性精神病においては異常脳波出現の有無が数多くの研究で問題とされている。そこには脳波上てんかん性異常波の出現をみるもの1)12)16)25)42)45)46)から,非特異的なθ波の出現を重視するもの28)39)45)46),さらには低電位速波10)11)17)18)44)または特別な脳波変化はみられない45)とするものまで多彩な記載がなされている。定型的内因性精神病におけるよりも,非定型のそれには脳波異常はたしかに発現が多そう30)だが,この関係について統一的な見解はまだえられていない。これを困難にしている理由は,一つには報告者によって対象とした非定型内因性精神病の概念がかなりことなることと,一つには多くの研究が横断面的脳波検索のみによってこの問題を論じていることにあると考えられる。
 いわゆる非定型内因性精神病の生物学的基礎,とくにその脳波異常の意義については,今後さらに各種の病像の明確な分類と対応して,多くの症例で病相および寛解期にくり返して脳波観察の追求がなされ,整理されなければならない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら