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最近13年間(昭和28〜40年)のうつ病の臨床統計—抗うつ剤導入前後の臨床的比較
著者: 安斎三郎1 内藤宏樹1 石田美穂子1 村井みほ1 瀬尾勲1 金子靖1 松本道枝1
所属機関: 1横浜市立大学医学部神経科教室
ページ範囲:P.703 - P.711
文献購入ページに移動最近多くのうつ病者を治療しているうちに抗うつ剤の投与により症状が全体的に軽快しているにもかかわらずなお退院することができない患者や,一旦退院はしても長期にわたり外来に通院してうつ状態を脱することができないでいる症例を数多く経験するようになった。また治癒したごとくみえても実際には病前の職業に耐えられず,仕事に復帰したのち再びうつ病期が始まって,その後長期にわたり抗うつ剤の投与を必要とする例もある。
近年抗つ剤が開発されて以来,われわれはほとんど抗うつ剤のみによる治療を行なっているが,電撃療法や持続睡眠療法を主として用いた時代のうつ病の経過と比べてその治療効果はどうであろうか。上に述べた慢性例や治療後の社会復帰の状況などの観察からうつ病の経過に対して,抗うつ剤が重大な影響を及ぼしているのではないかという疑いが生ずるのである。
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