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研究と報告
Double-blind,Controlled Trialによる“APY-606”の慢性分裂病患者における精神薬理学的検討
著者: 窪倉明雄1 荒正1 懸田克躬1
所属機関: 1順天堂大学医学部精神医学教室
ページ範囲:P.765 - P.774
文献購入ページに移動わが国独自の開発に成る向精神薬はきわめて少ないが,1968年に合成,研究されたAPY-606(吉富)(以下APY)はその数少ない薬物の一つである。第1図の構造式に示されるように本薬剤はPhenothiazine系化合物に属する。
薬理実験において,APYはChlorpromazine(以下CP)と同程度であるがThioridazine(以下TR)よりも強い自発運動抑制作用その他neurolepticな作用を有し,抗adrenaline作用,抗noradrenaline作用が強くしかも毒性はCP,TRよりもはるかに低い点が指摘されている。これまでの臨床報告においては鎮静,賦活の両効果がもたらされるといわれている1)。
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