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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻1号

1971年01月発行

文献概要

研究と報告

精神運動発作に対する“Tegretol”と“Pheneturide”の薬効比較

著者: 大橋博司1 河合逸雄2 浜中淑彦2 池村義明2 松田結美子2

所属機関: 1名古屋市立大学医学部精神医学教室 2京都大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.57 - P.61

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I.序論
 Pheneturide(Phenylethylacetylurea)とTegretol(carbamazepine)が抗てんかん剤として使用されるようになってすでに久しい.わが国において,Pheneturide(以下P. と略す)の薬効に関する報告は1961年頃よりみられ2)7)8)11)14),Tegretol(以下T. と略す)のそれは1965年頃からと思われるが1)3)4)5)6)9)16),両者に認められる臨床的効果は従来難治とされていた精神運動発作に有効なことである.文献から両薬剤の共通点をとりだしてみると,つぎのごとくまとめられよう.化学構造式としては,抗てんかん剤として一般にひろく用いられてきたHydantoin系薬物とはまったく異なること,臨床的には一般に大発作と精神運動発作に有効であること,気分変調などの挿間性症状,さらには人格変化にたいして時に有効であること,副作用は軽微で,それが出現しても比較的早期に消退することが多い,などである.しかし,文献から両者の薬効を比較することは,対象の相異,判定基準の相異のためまったく不可能である.
 さて,抗てんかん剤が多種にわたって使用されているにもかかわらず,わが国では二種以上の薬剤が比較検討された報告を著者達はみていない.てんかんの発作型にしたがって薬物の選択範囲もかなり狭められる現況であるが,二種以上の薬剤が同型の発作に効くとされる場合,薬剤それぞれの有効程度,特徴を知っておくことは重要である.とくに精神運動発作に有効な薬剤の歴史は比較的新しいものであるから,ここに著者らはP. とT. の薬効比較を試みた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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