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研究と報告
脳動脈硬化症を合併したAlzheimer病の1剖検例
著者: 三山吉夫1 高松勇雄2
所属機関: 1大牟田労災療養所 2若久病院
ページ範囲:P.63 - P.69
文献購入ページに移動Alzheimer病(以下Alz. 病と略す)は初老期痴呆群のなかでも比較的多く経験される疾患である.臨床および病理学的にその定型例は別として,非定型例に出くわすことも少なくない.かかる場合には,Alz. 病の病因が未だ明らかにされていない上に,臨床-病理所見においても他の初老期〜老年期脳器質疾患との移行があるために,臨床診断が必ずしも容易ではない.老年痴呆とAlz. 病とがまったく異なる疾患単位であるかどうかについては,現在でも議論の余地がある.一方脳動脈硬化症とは病理学的には明らかに区別され,一般にAlz. 病では脳血管の形態学的変化は少なく,年齢相応かむしろ年齢の割には血管壁は柔軟であると記載されている1)6)7)9).しかしAlz. 病と脳動脈硬化症との合併例の報告もかなりあり1)2)3)4)5),最近わが国では近藤ら8)が報告している.われわれも組織学的に脳動脈硬化症を合併したAlz. 病で,その臨床経過に脳血管障害が関与したと考えられる症例を経験したので,臨床-病理学的に2〜3の考察を加えて,症例の追加をしたい.
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