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特集 内因性精神病の生物学的研究
精神分裂病の精神生理学
著者: 安藤克己1
所属機関: 1山田病院
ページ範囲:P.939 - P.947
文献購入ページに移動I.はじめに
精神疾患,とくに精神分裂病とその脳の活動状態の関係をみるために心理的,情動的な刺激を与えながらいくつかの生理的指標にあらわれる反応や動きをとらえる研究は今までかなり多く試みられている。しかし非常にばらつきが多く,一致した結果が得られていない。近年になって分裂病をサブ・グループに分けることにより,また異なった分類方法をとることでかなり近い所見が得られるようになった。それらによれば分裂病(主としてnon-paranoid,process,chronicのタイプ)の特徴としてつぎのような表現がよく用いられている。安静時において,1)over-arousal(過覚醒),2)交感神経系の優位性,皮質下機構からの異常に強い皮質賦活状態,反応性としては,4)生理的反応の全般的な低下,さらに機構の障害としては,5)皮質-皮質下統合不全,6)感覚知覚過程における注意の範囲の狭窄,7)ホメオスターシス・フィードバック機構の障害などである。これらを理解するために,今回は関連するいくつかの研究成果を紹介し,また数年来わたくしが金沢大学や東京医科歯科大学において島薗らとともに続けている眼球運動についての若干の所見を加え,検討してみたい。
精神疾患,とくに精神分裂病とその脳の活動状態の関係をみるために心理的,情動的な刺激を与えながらいくつかの生理的指標にあらわれる反応や動きをとらえる研究は今までかなり多く試みられている。しかし非常にばらつきが多く,一致した結果が得られていない。近年になって分裂病をサブ・グループに分けることにより,また異なった分類方法をとることでかなり近い所見が得られるようになった。それらによれば分裂病(主としてnon-paranoid,process,chronicのタイプ)の特徴としてつぎのような表現がよく用いられている。安静時において,1)over-arousal(過覚醒),2)交感神経系の優位性,皮質下機構からの異常に強い皮質賦活状態,反応性としては,4)生理的反応の全般的な低下,さらに機構の障害としては,5)皮質-皮質下統合不全,6)感覚知覚過程における注意の範囲の狭窄,7)ホメオスターシス・フィードバック機構の障害などである。これらを理解するために,今回は関連するいくつかの研究成果を紹介し,また数年来わたくしが金沢大学や東京医科歯科大学において島薗らとともに続けている眼球運動についての若干の所見を加え,検討してみたい。
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