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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻10号

1971年10月発行

文献概要

特集 内因性精神病の生物学的研究

精神分裂病の内分泌学的研究

著者: 諸治隆嗣1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.957 - P.965

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I.はじめに
 人間の精神機能や行動に対する内分泌の影響については,早くから多くの報告がある。すでに1880年には粘液水腫に伴う精神変調についての記述がみられ,1891年にはクレチニズムが母親のヨード欠乏状態と関連して現われること,ヨード塩によって予防できることが知られている。一方,内因性精神病に関しては,周知のようにE. KraepelinやE. Bleulerがその病因として内因性中毒説を考え,内分泌系と内因性精神病の間の関係に注目しているが,それは以上のような精神機能におよぼすホルモンの影響を重視したためと思われる。
 1920年ごろまでには精神疾患患者の内分泌機能について豊富な知識が得られ,1923年にはLewis34)によって最初の綜説が書かれた。そこでは睾丸や副腎皮質の萎縮,甲状腺の間質変化,下垂体や脾臓の不規則な変化などが指摘されている。さらに1927年にはHoskins27)とWorcesterグループによる精神分裂病の広範囲な研究が開始されて,甲状腺,副腎髄質および皮質,下垂体および各種の代謝機能の検討や多くの内分泌腺抽出物を治療に用いる試みがなされた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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