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文献概要
特集 内因性精神病の生物学的研究
内因性精神病の臨床遺伝学
著者: 堺俊明1
所属機関: 1大阪医科大学神経精神病学教室
ページ範囲:P.989 - P.999
文献購入ページに移動I.はじめに
精神病の遺伝研究は,歴史が古いだけに業績も豊富であるが,その成果は必ずしも大きくない。同じ精神疾患のうちでも,種々の代謝障害や染色体異常による精神薄弱に関しては,それぞれ遺伝生化学および染色体病理学の方面から追究がなされめざましい発展が遂げられている。しかしながら,精神病一般の遺伝研究においてはこのような画期的な発見,飛躍的進歩はみとめられない。これは畢竟内因性精神病の診断基準が確立されていないことに加うるに,その身体病理が未だ充分明らかにされていないことに基づくものである。このように研究方法に種々の制約がみられるが,むしろ逆に臨床遺伝学を積極的に活用することによって,内因性精神病の本態が解明されて行くであろう。
ここでは紙面の都合上,主として内因性精神病の遺伝研究の現在の問題点に特に焦点をしぼって紹介する。
精神病の遺伝研究は,歴史が古いだけに業績も豊富であるが,その成果は必ずしも大きくない。同じ精神疾患のうちでも,種々の代謝障害や染色体異常による精神薄弱に関しては,それぞれ遺伝生化学および染色体病理学の方面から追究がなされめざましい発展が遂げられている。しかしながら,精神病一般の遺伝研究においてはこのような画期的な発見,飛躍的進歩はみとめられない。これは畢竟内因性精神病の診断基準が確立されていないことに加うるに,その身体病理が未だ充分明らかにされていないことに基づくものである。このように研究方法に種々の制約がみられるが,むしろ逆に臨床遺伝学を積極的に活用することによって,内因性精神病の本態が解明されて行くであろう。
ここでは紙面の都合上,主として内因性精神病の遺伝研究の現在の問題点に特に焦点をしぼって紹介する。
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