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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻10号

1971年10月発行

文献概要

特集 内因性精神病の生物学的研究

内因性精神病理解のための発達的観点

著者: 岡田幸夫1

所属機関: 1神戸大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1001 - P.1008

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I.はしがき
 内因性という既念に基づいて,その精神分裂病学を系統的にうち立てたのはKraepelinの精神病理学である。したがって,Kraepelinの時代には,内因性という概念は,名実ともにその位置を確立し,さらには,将来,身体病理が発達して内因性なるものの法則が明らかになるであろうという精神病学の進んで行く方向をも予想していたといえるのであろう。
 けれども,その後の精神病学の歩みは,むしろ身体病理と精神病理とが,判然と離別してしまう方向をたどったものである。いいかえれば,身体病理と精神症状との結びつきは一元的に考えられないことが強調され,精神病理は,身体病理との関連をはなれて,精神病理独自の道をたどったといえよう。もちろん,JaspersからK.Schneiderにつながる現象学は,内因性という概念を保持しているが,単に正常心理から了解できないという点を想定したにとどまって,内因性を示す精神症状の構造は必ずしも明らかにしていない。たとえば,K.Schneiderは,精神分裂病の第1級症状を列挙しているが,単に現象的に症状を列挙したにとどまって,その正常心理との構造的な差違が考察されていないために,身体病理とのつながりは,それ以上の深まりをみせてはいないのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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