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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻11号

1971年11月発行

文献概要

研究と報告

向精神薬の副作用に対する抗ブラディキニン性抗アレルギー剤Homoclominの抑制効果

著者: 西園昌久1 牛島定信2 松口良徳3 野入敏彦4

所属機関: 1九州大学医学部精神神経科 2国立肥前療養所 3松口病院 4飯塚保養院

ページ範囲:P.1091 - P.1096

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Ⅰ.緒言
 向精神薬,なかでもneurolepticsを使用するさいにはいろいろの随伴症状や副作用があらわれるのをつねとするといえるほどである。したがってneurolepticsの随伴症状としてのパーキンソン症状群やその他さまざまの副作用を軽減する目的で,Artane,Akineton,promethazine(Pyrethia,Hiberna)が一般に使われる。ことにpromethazineは必須のように併用されている。それは,neurolepticaによってひきおこされる可能性のあるアレルギー反応ことに発疹,皮膚炎さらにパーキンソン症状群やアカシジアを予防し,抑制することを期待してからのことである。また,向精神薬療法のはじまりに人工冬眠療法といわれていたころ,chlorpromazineとともに併用することでカクテル療法とよび,phenothiazine誘導体を使用するさいに欠かすことのできないものとされていた当時のなごりがそのままひきつがれているともいえよう。
 ところが,neuroleptics,抗パーキンソン剤とともにpromethazineを併用している症例において,しばしば,鼻閉,口渇,目のちらつき,排尿困難などの自律神経性障害,ねむけ,あるいは全身倦怠感などの中枢神経性障害を訴えるものがある。これらは,そのような副作用がもともとneurolepticsによってひきおこされるところに,promethazineの併用によってさらに,増強されたものとみられるのである。向精神薬の導入のころは,そのような副作用よりも,それら向精神薬の治療効果の方が重視されて,副作用は患者に耐えしのぶことを求めてきた。しかし,そのような副作用がつよくあらわれてきた時に,患者の苦痛ははなはだしい場合もある。また,このごろのように,長期にわたり,向精神薬を連用するようになると,社会復帰をしてなお向精神薬は継続して服用する症例がふえてきた。社会復帰したような患者にとって,上記したような副作用をもっていることは,日常生活に支障をきたすことになりかねない。自然,多少の副作用にも耐えて治療した時代から,副作用をできるだけ少なくして治療する時代へと移行してきている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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