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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻2号

1971年02月発行

研究と報告

空笑について

著者: 小倉日出麿1

所属機関: 1精神科尾辻病院

ページ範囲:P.149 - P.155

文献概要

I.はじめに
 笑いは喜悦,ユーモア,快感情の表情であって,生活や体験の内容を肯定し,温かさと積極性とをもっている。しかし笑いには歪んだ笑いもある。嘲笑,冷笑,含み笑いなどには相手や対象の価値を否定する態度が示される。温かい笑いは人を包み,人から人へと伝播するが,冷たい笑いは人を否定する。笑うこと程残酷なことはないような笑いもある。冷笑に対して,われわれはその冷情さに対し反感をも覚える。
 ところで精神病者の空笑はどうであろうか。われわれはこの空ろな笑いに対して反感をすら感ずることはできない。いかにも狂気というにふさわしく,空笑に接するとき,病者はわれわれとはまったく異質の境地にあることを思い知らされる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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