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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻2号

1971年02月発行

研究と報告

躁うつ病および症候性躁-,うつ状態に対するCarbamazepine(Tegretol)の効果

著者: 竹崎治彦1 花岡正憲1

所属機関: 1国立岩国病院精神神経科

ページ範囲:P.173 - P.183

文献概要

I.緒言
 いわゆる内因性精神病のなかで,躁うつ病は分裂病とともに,その生理的障害のメカニズムは明快には判っていない1)。また,躁うつ病(以下MDIと略称する)の治療も,ことに躁病(相)や循環性MDIの場合,うつ病(相)よりも一般に困難である。近年phenothiazine誘導系にくわえて,lithium塩2)3)が試用されるようになり,われわれも使用してみたが必ずしも効果に安定性があるとはいいがたいようである。
 Carbamazepine=Tegretol〔5-carbamoyl 5 H-dibenzo(b,f)-azepin〕は,従来より向精神作用をもつ抗てんかん剤として,あるいは抗三叉神経痛剤として一般に知られている。Tegretolは化学構造上,精神身体調整剤のopipramol(Insidon)と同じdibenzoazepine核をもち,また抗うつ剤のimipramine(Tofranil)のiminodibenzyl核に近似した構造をもっている。このような特性をもっTegretolを躁病やMDIの治療に試用するに至ったのは,開放病棟しかもたないわれわれの窮した上での迷案であったが,予期以上の臨床効果が得られた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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