文献詳細
文献概要
研究と報告
高齢の精神病患者にみられる常同的運動について
著者: 杉本直人1 星融1 森崎郁夫1
所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神科
ページ範囲:P.241 - P.246
文献購入ページに移動2)われわれの対象者においては同じ言葉が反復されるという現象(Verbigeration)を呈した患者はみとめられず,同じ行動が反復されるという行動面での常同的現象しかみとめられなかった。
3)この常同的現象を呈した例は計20名であり,そのなかで,咀嚼運動様の口をもぐもぐさせる現象を呈する例が17名にみとめられた。
4)この咀嚼運動様の常同現象は,反復症(Iteration)の特性を持つと考えられた。
5)この反復症は高等な統制機能の失われた精神的に痴呆ないし荒廃化した状態で出現しており,痴成と関係していることを論じ精神病理的に空間性の問題などとしては最早論じえず,また脳病理学的には脳の局在性の問題と関連して論じえられぬであろうと結論した。
掲載誌情報