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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻3号

1971年03月発行

研究と報告

神経質者の森田的(集団)精神療法

著者: 大原健士郎1 藍沢鎮雄1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学精神神経科教室

ページ範囲:P.247 - P.253

文献概要

I.はじめに
 森田が「形外会」という神経質全治者の座談会をもったのは,1929年12月1日が最初とされている。当初,この会合は森田が召集したものではなく,森田に治療された者の親睦会のようなもので,森田自身のことばをかりると,「皆んなの好きなように,ピクニックに行ってもよいし,講談師をよんでもよいし,名士の講演を頼んでもよい」という内容をもつものであった。しかし,回を重ねるにつれて,退院者のアフター・ケアーや入院治療中の患者の生活指導といった傾向を強く打ち出すようになった。現在でも,入院式森田療法を施行している病院では,多かれ少なかれ,この様式をとり入れている。たとえば,高良興生院では「けやき会」という名称のこの種の集まりが1ヵ月に1度もたれているし,この他にも,週に1回は入院患者を一室に集めて,高良による「講話」形式の生活指導が行なわれている(ただし,この「講話」は森田時代には行なわれていなかった4))。
 従来,われわれは大学の外来において神経質者に対する外来式森田療法を個人精神療法の形で施行してきたが,これまでの臨床経験からすれば,神経質者の外来療法は1人当たりかなりの時間をとり,患者の多くをさばき切れないうらみがあり,一方,難治例は結局入院させざるをえない場合が少なからずあった。これらの臨床上の問題点をいかにして改善すべきかを考慮して,上記の諸先輩の治療上の技法を応用し,外来で森田式集団精神療法を合わせて施行してみたいと考えた。ここで,われわれの技法をあえて森田的集団精神療法とよぶ理由は,われわれはあくまでも森田の治療方針に沿って,患者に対して指示的に行動本位の生活様式を求め,「あるがまま」を治療の骨子とし,他方,技法上,日記指導を含む個人精神療法も併用したからである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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