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研究と報告
緊張病症候群を示したTurner症候群
著者: 平原輝雄1 原田正純1 早崎和也1 森山弘之2
所属機関: 1熊本大学医学部精神神経医学教室 2熊本大学医学部体質医学研究所小児体質学教室
ページ範囲:P.255 - P.261
文献購入ページに移動2)積極性・緊張の喪失,不関・孤独などの持続性の精神症状が特有であり,さらに自我障害がみられ,周期性に寡動状態と多動状態がみられ緊張病様状態を示したといえる。しかも,精神症状は3年にわたって持続している。分裂病に似るが病像は特異で分裂病と異なる。
3)身体は小さく,身長134cm,体重37kg。乳房の発達不良,腋毛・恥毛の欠除,無月経,外性器発育障害。左下肢外反膝などの身体症状がみられた。
4)脳波に広範性低電位不規則徐波が認められ,尿中170HCS,17KSは低値を示す。さらに染色体検査で45個XO型のTurner症候群であることが確かめられた。
5)本報告はわが国における顕著な精神症状を呈した例の最初の報告で,外国の例を加えても報告としては貴重である。
6)本例の精神症状の発生機序は内分泌障害による症状性精神病と考えている。
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