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研究と報告
老人性痴呆におけるPseudodialogについて
著者: 越賀一雄1 浅野楢一1 今道裕之1 宮崎真一良1
所属機関: 1大阪医科大学神経精神科学教室
ページ範囲:P.343 - P.347
文献購入ページに移動現代いたる所で"対話の場"とか"対話の欠如"などといった言葉がしきりに語られている。このこと自体すでに現代の人間についての精神病理学的研究の対象となることであり,それは人間と人間との間に真の対話の欠けた現代の人間の精神状況を物語っていると考えられる。
古くギリシャのプラトンの哲学がソクラテスとの対話の形式で述べられたことの意義といった根本問題はさておき,対話とはそもそもいかなる内容と形式をもってかわされるべきかという問題について,ここで挙げた3例の老人痴呆患者の対話に関する本論文が,その精神病理学的見地から光を投じ,かつまた実りなき対話,疎通性の欠如,断絶を感じているわが国の老若を問わず,それぞれの世代の精神科医自身の自らの問題についてもなんらかの参考になれば幸いである。
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