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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻4号

1971年04月発行

研究と報告

病識に関する検討—分裂病欠陥状態を対象として

著者: 勝山信房1 田中義1 有岡巌1

所属機関: 1奈良県立医科大学神経精神科学教室

ページ範囲:P.349 - P.354

文献概要

I.緒言
 古くは,自分が精神疾患を病んでいると意識しているかいなかが,疾病分類の一つの目安になると考えられていた。そしてまた,このような能力が欠如している場合には,その患者は精神病者であるとみなす傾向があった。しかし,Pick10),Heilbronner2)やHinrichsen4)5)をはじめとする諸著者により,さまざまな種類の精神病の患者においても,現在自分が病んでいるという意識を有している場合が多いことが指摘され,また提唱された。
 一方,Jaspers6)がKrankheitseinsicht(病識)について厳密な定義づけをし,その定義が支配的なものとなっている。すなわち,彼によれば,病者が個々の疾病症状の全部,あるいは病全体として,その病の種類も重さも正しく判断できるならば,それを病識とするのである。しかし,彼の定義による病識なるものを一般臨床において扱う場合,かなりの問題点があることを感じる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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