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研究と報告
甘えと攻撃—第1報「転移性攻撃」について
著者: 福島章1
所属機関: 1東京医科歯科大学総合法医学研究施設,犯罪心理学部門
ページ範囲:P.585 - P.592
文献購入ページに移動 1)原始反応および敏感反応と診断された2例の犯罪者の攻撃的行動の記述と考察を試みた。
2)彼らの攻撃的行動は「甘え欲求」(土居)の不満と密接に結びついていた。すなわち,行為者がかつて生活史的に重要な人物に抱いていた「甘え欲求」が被害者となるべき人物に幻想的に「転移」され,その幻想の破局において,甘え欲求と不可分に結びついて攻撃性が解発されたものと理解しうることを示した。そこで著者はこの種の攻撃を「転移性攻撃」と呼ぶことを提唱した。
3)以上の知見は,精神鑑定の経過の中で,被告人に対する精神療法的接近によって得られた。
2)彼らの攻撃的行動は「甘え欲求」(土居)の不満と密接に結びついていた。すなわち,行為者がかつて生活史的に重要な人物に抱いていた「甘え欲求」が被害者となるべき人物に幻想的に「転移」され,その幻想の破局において,甘え欲求と不可分に結びついて攻撃性が解発されたものと理解しうることを示した。そこで著者はこの種の攻撃を「転移性攻撃」と呼ぶことを提唱した。
3)以上の知見は,精神鑑定の経過の中で,被告人に対する精神療法的接近によって得られた。
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