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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

新しいBenzodiazepine系薬物D-58 S1の睡眠への影響について

著者: 功刀弘1 矢吹篤1 星昭輝1 木村聰1 石田哲浩1 原俊夫1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部精神神経科教室

ページ範囲:P.619 - P.624

I.はじめに
 Chlordiazepoxide,diazepamおよびnitrazepamなどのbenzodiazepine誘導体は精神安定剤として,また睡眠導入剤として,最近ますます多用される傾向にある。そのすぐれた精神安定作用はこれらの薬剤の評価を一応不動のものとしたように思われるが,これらの薬剤の使用方法は必ずしも単純ではない。われわれは武田薬品工業で開発した新しいbenzodiazepine誘導体であるD-58S1の臨床上の薬効について,検定を行なう機会をえたので,その睡眠におよぼす影響を中心に終夜睡眠脳波を応用してその薬効を検討した。われわれ6)は,脳波上の睡眠パタンでいわれている深睡眠相(第4相)と精神機能との関係について検討してきているが,本報告でもこの点にとくに注目した。今回の報告は例数も少なく,統計処理による検定は行なわなかったが,終夜脳波の応用による薬効検定の一つの新しい試みを紹介するとともにbenzodiazepine誘導体の薬効の一つの傾向を指摘し,これらの薬物の興味ある作用について論ずるつもりである。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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