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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻6号

1971年06月発行

文献概要

研究と報告

二重盲検法によるClomipramineとAmitriptylineの抗うつ効果の比較

著者: 谷向弘1 乾正1 金子仁郎1

所属機関: 1大阪大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.625 - P.633

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 Imipramineのiminodibenzyl核の3位を塩素原子で置換したclomipramineの抗うつ作用を,amitriptylineを対照薬とした二重盲検・比較試験法によって調べた。「似たもの同志の組」として試験を完了したものが18組,相手がきまらないまま,あるいは一方が途中で脱落したものが4組で,結局3週間以上観察をつづけることが出来たのは,clomipramine投与例19例,amitriptyline投与例21例であった。
 症状評価のためには,臨床精神薬理研究会が作成した「うつ病症状評価尺度」の医師用と患者用を用い,得られた結果を,逐次検定法,x2検定法,および因子分析法によって抽出された全般因子および内因因子の評点の推移等によって解析したところ,概括的な抗うつ作用,有効率,効果発現速度,標的症状のいずれについても,両薬剤の間に推計学的に有意差を見出すことはできなかった。いずれの薬物によっても,ほぼ90%の症例に好影響がみられ,抑うつ症状,意志・思考抑制,自律神経系の身体症状などどの要素症状にも満足すべき効果が得られた。1日最高投与量を指標として,両薬剤の使用薬量を調べたところ,clomipramineの100±9mg/日に対しamitriptylineでは130±37mg/日で,この差は危険率5%で推計学的に有意であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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