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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻7号

1971年07月発行

文献概要

展望

精神医学の立場からみた霊長類の行動異常の研究

著者: 臺弘1

所属機関: 1東京大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.660 - P.672

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I.はじめに
 精神医学の立場から霊長類の研究の意義を積極的に認めている精神科医は,現在においては決して多くはない。むしろ誠に少ないというべきであろう。それは一つには,精神医学に深く流れている精神至上主義ないしは非生物主義ともいえる傾向と——これが粗雑な言い方であることは私も承知しているが——,二つには,従来の身体病に対して行なわれてきた実験医学的な分析方法が生物学的研究方法のすべてだと思われていて,それが精神障害の研究や治療に十分な成果を上げるに至っていないという事情に関係している。
 私は精神医学と精神科医療の現在の主流が,精神障害を患者から離れた病気としてではなく,一人の人間のあり方として理解し,患者に対して社会的・心理的な関与をすることに,大きな意味をおいていることを十分に認めているが,それが反生物学的傾向をとるならば,すでに一種の反動現象であって,早晩また行きづまるだろうということを深く感じているものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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