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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻7号

1971年07月発行

文献概要

研究と報告

二重盲検調査による向精神薬Flupentixolの精神分裂病に対する薬効検定

著者: 石丸寅之助12 久保摂二13 石川博也4 日域昭三1 河村隆弘1 木村進匡1 兒玉秀敏13 升田慶三13 三宅安三郎5 野村昭太郎1 佐々木敏弼13 下永和洋13 津久江一郎16 浅田成也17

所属機関: 1広島大学医学部神経精神医学教室 2原爆傷害調査委員会統計部 3国立賀茂療養所 4西條精神病院 5養神館病院 6瀬野川病院 7浅田病院

ページ範囲:P.739 - P.746

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 Flupentixolの精神分裂病に対する薬効を検定するため,対照薬としてperpheazineを用い,二重盲検法による試験を行なった。
 主に慢性か周期性に経過した破瓜型精神分裂病で,作業療法の準備段階にある入院患者38組76例を対象に選んだ。原則としてfluphentixolは1日維持量6mgを8週間にわたって投与し,perphenazineは1日維持量36mgを投与し,両薬剤の効果を比較した。
 Perphenazineを投与した1例が投与開始2週以内に病状が悪化して脱落し,この症例ではkey cardを早く開票した。Flupentixol投与の他の組の1例は,投与5週後に心電図に異常を認めたため,他の薬剤に変更したので,これら2組を除いた72症例36組について薬効を比較した。
 Armitageの逐次検定法を用い,相対的概括判定,全般的改善度について5段階評価と,広大式精神症状評価尺度による投与前後の評価点の差を用い,両薬剤の優劣を統計的に検討したが,治療効果はいずれかの薬剤で優劣があるとは統計的に認められなかった。すなわち,flupentixolは主に慢性分裂病に対する向精神薬として,少なくともperphenazineと同様に臨床的有用性があると考えられた。さらに,両薬剤投与群の改善度の分布についても比較検討したが,統計的に有意の差は認められなかった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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