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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻8号

1971年08月発行

研究と報告

青木繁の病跡

著者: 加藤稔1

所属機関: 1岐阜大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.781 - P.787

文献概要

I.まえがき
 わが国の従来の病跡学研究は,そのほとんどが文学者に関するものであって,画家の病跡学研究については知られていない。画家には変人が多いということは巷間よくいわれているところである。私が折にふれて読んだ伝記の範囲内でも,精神医学的にみてずい分問題のある画家が多い。とくに独特の作風をもち,若くて世を去ったという,いわゆる異端の画家に異常をみるものが多い。
 私がここで述べる青木繁もまたこの中のひとりである。活躍期間こそ短かかったが,明治におけるわが国の画壇を代表する作家のひとりである。彼のユニークな一連の作品はすでに彼の生前から熱狂的に愛され,天才と評されていた。しかしいっぽう,彼の作品には弧独の翳りを帯び,他方人をひきつけてやまぬ一種奇様な雰囲気が感じられる。そのため私は以前から作者の人格について,とくに関心を払ってきたのである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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