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文献詳細

雑誌文献

精神医学13巻8号

1971年08月発行

文献概要

研究と報告

青少年の神経症的傾向

著者: 稲垣卓1 梅沢要一1 宮本慶一1 譜久原朝和1 川島節子1 妹尾節子1 柏木徹2 藤井省三2 井上照雄3

所属機関: 1島根県立湖陵病院 2国立療養所鳥取病院精神科 3島根大学保健管理センター

ページ範囲:P.799 - P.809

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I.はじめに
 諸種の軽微な神経症的症状は,健康者のなかにも少なからず見出され,とくに青少年期に多いことは周知の事実である。秋元1)は昭和35年に東京大学新入生にアンケート調査を行なって,不眠・多夢・頭重・めまい・ゆううつ感・自己劣等感・思考力低下などの訴えをもつものを相当の高率に見出した。最近は諸大学等においてUPIテスト等がしばしば行われたが,大熊ら2)の報告によれば,昭和43年度鳥取大学の新入生に対するUPIテストでは,「くびすじや肩がこる」「めまいや立ちくらみがする」「赤面しやすい」「なんとなく不安である」「たしかめないと気がすまない」「他人の視線が気になる」「周囲の人が気になる」等の項目において33〜56%の肯定率を得,それに先立って行なわれた京都大学・大阪教育大学におけるUPIテストの結果もほぼ同様であったという。
 著者らは,強迫傾向・不安・心気傾向・自殺念慮・罪責感・視線に関する問題・体臭恐怖・関係観念その他の質問項目を含む第1表のような質問票を作成し,青少年を対象として調査を行ない健康な青少年にどの程度各種の神経症的傾向がみられるかを知るとともに,そのような神経症的傾向が年齢および同胞順位,在学中の学校および学級等の環境的要因とどのような関係にあるか,また各種の神経症的傾向の間の相互関係はどうなっているかを知ろうとした。Freud4)以来,強迫神経症と罪責感についてしばしば論じられ,著者5)も精神療法によって罪責感がみいだされる強迫患者は少なくないことを経験しているので,強迫傾向と罪責感との関係をみるために,この両者に関連する質問を多く含ませてある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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