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研究と報告
新穏和精神安定薬Bromazepam(Ro 5-3350)の使用経験—とくに強迫症状にたいする効果について
著者: 大熊輝雄1 中尾武久1 小椋力1 岸本朗1 馬嶋一暁1
所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.823 - P.830
文献購入ページに移動Benzodiazepine系薬物は,一般に静穏作用が強く,精神神経科領域でも,各種の神経症にたいしてだけではなく,躁うつ病,精神分裂病などの内因精神病の治療にも併用的に使用され,現在までにchlordiazepoxide,diazepamをはじめとして各種の薬物が臨床的に使用されている。また催眠作用が強いnitrazepamなどは睡眠薬としても使用されており,また抗痙攣薬としての作用も評価されている。
1968年F. Hoffman-La Roche社によって開発されたbromazepam(Ro 5-3350)(7-Bromo-5-(2-pyridyl)-3H-1,4-benzodiazepin-2(1H)-one)は,従来用いられているbenzodiazepine系のchlordiazepoxide,diazepam,nitrazepamとは構造式にブロム(Br)をもつ点(第1図)で異なっており,サルを含む各種実験動物では,静穏,抗斗争,抗痙攣作用を強くしめし,それらの作用はchlordiazepoxide,diazepamよりはるかに強力であり,とくに筋弛緩,抗痙攣作用はdiazepamより著しいと報告されている(Randallら,1968)。
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