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研究と報告
自己臭患者の性と罪悪感について
著者: 洲脇寛1 大森鐘一1 大月三郎1
所属機関: 1岡山大学医学部精神神経科教室
ページ範囲:P.879 - P.883
文献購入ページに移動自己臭に関する報告は,これまでも,Brill1),Walter2)3),Videbech4)らの報告があるが,その疾患的位置づけは様々で,症例により,あるいは著者によって,NeuroseからSchizophrenieに及ぶ範囲に位置づけられており,必ずしも明確なものではない。そこで,中沢5)・足立6)らは,疾病的位置づけにあまりこだわらず,人間学的な観点から,自己臭患者の存在様式を理解しようとし,その中で,彼らの性的問題や罪責的なかかわり合いについても注目している。
われわれが,この症例報告を思い立った意図は,本症例では,自己臭症状を発した根底に,父親像,性の罪悪感の問題が大きな役割を演じており,それらの問題を中心に,自己臭患者の心性を理解するためである。さらに,本症例では,罪悪感の実際的な解決が宗教に結びつき,宗教道場での体験が重要な転機となったので,その点についても,精神療法的な検討を加えたい。
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