文献詳細
研究と報告
文献概要
八王子医療刑務所精神科に昭和45年4月から18カ月間に収容された合計115名のうち,分裂病以外の診断を受けた者で裁判時精神鑑定を受けた合計10名について,症例報告と検討を行ない,さらに,精神鑑定全般に関して考察した結果をまとめると,つぎのごとくである。
(1)鑑定を受けた非分裂病例の罪名は殺人はじめ重大なものであるが,第1報の分裂病例に比べると,非行歴や犯罪歴のある者が多い。
(2)鑑定人の判定のうち,予後経過からみて4例に多少の疑問が持たれるが,第1報例に比べるとその程度は軽度である。
裁判での判決は,鑑定結果をよく尊重している点,第1報例と同様である。
(3)入所後症状発現までの期間は,第1報例よりも短期であり入所前後から発現している者が多いが,これは疾病の本質に関係しているものと思われる。
つぎに第1報との関連でいえることは,
(4)拘禁下での病像はどの疾患も古典的なものが多く,治療には長期を要す難例が多いほか再発の頻度も高いが,拘禁下のゆえに治療不能ということはないように思えた。
(5)精神鑑定の困難や限界について,本対象者に則していくつかの点を指摘した。
鑑定人がとくに注意すべき症例は,分裂病潜伏期に殺人など重大犯を行なうものでいわゆる精神病質などと見誤りやすいことが注目された。
(1)鑑定を受けた非分裂病例の罪名は殺人はじめ重大なものであるが,第1報の分裂病例に比べると,非行歴や犯罪歴のある者が多い。
(2)鑑定人の判定のうち,予後経過からみて4例に多少の疑問が持たれるが,第1報例に比べるとその程度は軽度である。
裁判での判決は,鑑定結果をよく尊重している点,第1報例と同様である。
(3)入所後症状発現までの期間は,第1報例よりも短期であり入所前後から発現している者が多いが,これは疾病の本質に関係しているものと思われる。
つぎに第1報との関連でいえることは,
(4)拘禁下での病像はどの疾患も古典的なものが多く,治療には長期を要す難例が多いほか再発の頻度も高いが,拘禁下のゆえに治療不能ということはないように思えた。
(5)精神鑑定の困難や限界について,本対象者に則していくつかの点を指摘した。
鑑定人がとくに注意すべき症例は,分裂病潜伏期に殺人など重大犯を行なうものでいわゆる精神病質などと見誤りやすいことが注目された。
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