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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻11号

1972年11月発行

文献概要

動き

アメリカの精神衛生分野における新職種の訓練とその活動について

著者: 増田陸郎1

所属機関: 1東京都目黒保健所

ページ範囲:P.1049 - P.1055

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I.はじめに
 現在アメリカの精神衛生第一線においては,好むと好まざるにかかわらず,自然発生的に生まれた非専門的新職種によって静かな,しかし確かな歩調で一つの革命的な進展がなされつつある。これは「心の病い」の終局的な修復は健全にして平均的な社会の中で行なわれなければならないとした場合,高度な学問的教育をうけた専門職(professional)が必ずしも最適な修復者とは限らないという素朴な疑問に答えてくれている。実にアメリカの地域精神衛生センターの第一線で開拓不能とされた黒人ゲットー地区活動に挺身しているのも,この地区出身のワーカーたちである。
 フィラデルフィアのテンプル医大・精神衛生センター所長のDr. Gardnerは「医師のいない精神医学」(psychiatry without doctors)を提唱して、学歴よりは治療士(therapist)として適任かどうかを感情移入,忍耐,支援能力をテストして採用,3カ月の一般教育,6カ月の臨床教育を行ない黒人対策に好成績を挙げていた。彼の次の言葉は傾聴に値いしよう。「精神科医は良い治療士としてよりは知能を根拠として選ばれている。知能は必ずしも良い治療士を作らない。精神医学を含めて一般に支援サービスは目標を誤っていた。われわれは何が基礎的なものであるかを見失っていたのである」。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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