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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻11号

1972年11月発行

文献概要

動き

アメリカの公立精神病院における向精神薬療法の現況

著者: 風祭元1

所属機関: 1帝京大学医学部精神神経科

ページ範囲:P.1057 - P.1063

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I.はじめに
 著者は1970年4月から1972年3月までの2年間アメリカ合衆国マサチュセッツ州のボストン州立精神病院(Boston State Hospital,以下BSH)に臨床精神薬理学の臨床研究員として滞在し,種々の向精神薬の効果の判定や,向精神薬の副作用の診断・治療に関する研究を行なう傍ら,発病後長い経過を持つ慢性精神分裂病患者を主とした入院患者の病棟の受持医として,診療に従事する機会を与えられた。
 アメリカにおける精神科の医療体系は,日本のそれとはやや異なっているのは周知の通りである。多くの精神神経症,心身症,軽症の精神分裂病やうつ病の患者で,中流以上の,経済的にある程度余裕のある患者は,オフィス一つで開業している精神科専門医,あるいは一般家庭医によって治療されることが多く,公立の精神病院や,それに付設されている地域精神衛生センターの患者は,大部分が医療費公費負担の慢性精神病患者なので,州立病院における医療の状況が,そのままアメリカの精神科医療の実態を正しく反映しているとはいいがたいことはもちろんであるが,ここでは,著者の個人的な体験を通して,アメリカの精神医療,とくに向精神薬療法の現状について述べ,いくつかの新しい動きについても触れてみたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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