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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻2号

1972年02月発行

文献概要

特集 作業療法

作業療法の管理的側面

著者: 竹村堅次1

所属機関: 1昭和大学付属烏山病院

ページ範囲:P.99 - P.106

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I.はじめに
 精神病院をあぐる話題のなかでよく出るのが「作業療法というけれども,患者が働くのだから生産物のあがりで結構もうかるのではないか」という疑問である。もうかるといえば,昭和30年代の精神病院ブームで一般の人びとが精神病院は経営上有利で十分投資の対象になると気軽に考えていたのも,いまとなっては大きな問題を残した。専門従事者ならば誰でも作業療法の重要性を否定する者もなく,いまや施設数において法人・個人立(いわゆる民間病院)が80%を越え,病床数に至っては86%を上廻るに至った事実を知らぬ者もないだろう。
 こうした環境のなかで作業療法が広く行きわたりさらにリハビリテーション活動へと伸びていったのが現況だが,昭和40年6月に理学療法士・作業療法士法が成立して以来,作業療法は再認識されざるをえなくなった。もちろん専従者が必要という角度から病院管理にも関連してくる。しかしながらリハビリテーションの場合もそうだが,理論は将来を見過ぎるきらいがあり,現実の精神科領域の作業療法の実態からみて,作業療法は質的,あるいは精神療法的側面からはともかくとして少なくとも管理的側面からは目覚ましく進歩ないし改革されたとはいえない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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