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文献詳細

雑誌文献

精神医学14巻2号

1972年02月発行

特集 作業療法

個人療法的作業の効果をめぐって

著者: 浜野夏子1 山崎達二1

所属機関: 1東京都立松沢病院

ページ範囲:P.115 - P.122

文献概要

I.はじめに:目的と方法
 Pinel以来の長い低迷を経て,作業療法は近年ようやく精神医療の実践活動として広まってきたが,その効果はまだ経験的な事実に多くを支えられている段階といわなければならないだろう。多くの先輩諸氏から「どうして効くのかはっきりしないが,確かに患者さんは変わっていく」という声をきくとき,私たちは大変力づけられると同時に,どのように実践することが客観性をもつ行為につながるのかわからないという諦め的な響きを感ずることもある。このことは,いわゆる作業あるいは活動をつかったアプローチが,moral treatmentとかergotherapy,Arbeitstherapie,worktherapy,activity therapy,occupational therapy等等,さまざまな名称で呼ばれて,時代的・国家的な人間観や医学の哲学的背景と密接に関連しながら発達してきた事実と無縁ではなさそうである。したがって作業療法をとりまく現代医療の構造をぬきにして,技術や科学的実践をとりあげることに困難がある。しかし,そうはいっても臨床的に効果があるといわれる以上,作業療法の治療的要因を点検する必要性は変わらないと考える。
 私たちのアプローチの目的は,病気や障害そのものよりも,病気や障害をもちながら生活する個人に対して,彼らがうばわれた生活機能をとりもどし充実したあり方(リハビリテーション)を得ることである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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